「数字の定義」で報告書に説得力を


データを扱う際に「その数字の定義を知ること」はとても重要です。



何についてのどういう数字なのかがわかっていないと、深い解釈をすることができず、

結果として間違った結論が導かれることもあります。

また、定義のあいまいな数字を報告書などに載せることは、

大事な会議において議論が発散するリスクを高めるもとにもなります。



これは組織内のデータを使う場合でも、社外データを使う場合でも同じです。

しかし、普段の業務で利用しているデータを扱う場合には、

定義についての心配はそれほど考慮されないケースが多いと思います。

報告や提案の受け手である経営層や上司も、自社の数字についてはある程度理解しているので、

おかしいと思ったらその場で解決するからです。



一方で、公共データ、社外データなど、普段見ていない数字を使う場合や、

自社データを社外に出す場合などは、定義がとても重要になってきます。

また、実務の上では不備はあるが、このデータしか入手できないので

やむを得ず使っているケースも多くあると思います。

その場合でも、定義を知っていれば、そのデータを使うことで起き得る問題を未然に察知でき、

あるいは議論の場で指摘することもできます。




たとえば、「日本の空家率」を議論の前提にしたい場合を想定してみます。

検索すると、日本の空家率は13.6%とすぐに出てきますし(「平成30年住宅・土地統計調査」)、

さまざまな考察や論説を読むことができます。



しかし、「空き家」と聞いてイメージするものは人によって違います。

いわゆる廃屋のようなものを想像する人もいれば、

海外転勤などの長期不在や、ずっと売れない住宅など、いろいろあります。

このイメージが統一されていなければ、それに基づく議論も発散しやすくなります。



ここでいう「空き家」とは、「2017年10月1日現在、常時人が住んでいない住宅」のことです。

別荘等の二次的住宅や、賃貸用・売却用の住宅、その他の住宅をすべて含んだ合計であり、

いわゆる廃屋は、「その他の住宅」に含まれます。

※前提として、マンション等の1室は1戸と数えます。

参考までに、「別荘等の二次的住宅」を除けば日本の空家率は13.0%に、

さらに賃貸・売却用途を除いて「その他の住宅」のみを集計すれば5.6%となります。



エリア別に見たい場合はさらに注意が必要です。

都道府県、さらに1万5千人以上の市町村については推計値を入手できますが、

そのデータによる市町村別の空家率1位は長野県軽井沢町の68.2%、

2位は栃木県那須町の61.0%になります。

直感ではとても受け入れがたい数字ですが、これは別荘などがとても多いからです。

別荘等の二次的住宅を除いて集計すれば、空家率はそれぞれ2.8%、8.3%となり、

空家率1位は北海道夕張市の40.2%となります。



空家率の内訳はデータとして公表されているため、ここまで来れば、

議論の目的により適した定義を決め、

さらには推計精度を考慮したうえで、エリア別の空家率を作成して示すことができます。

また、元の数値をそのまま使う場合でも、上記を知っていれば、

情報の受け手からの疑問にも安心して答えられるのではないでしょうか。




とはいえ、自社データの集計分析だけで手いっぱいなのに、

外部データについて定義を調べる時間はない、という場合が多いと思います。

そのため、ヨカヤムでは「データマート作成支援サービス」を行っています。

目的をお伺いしたうえで必要なデータを探索し、

定義や出典等をまとめたうえで「すぐ使える」形でお渡しします。


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