社内のデータ分析は「課題解決型」で



2015年くらいから、

自社にデータ分析部門を立ち上げる大手企業が急速に増えました。

それに伴い、様々な経歴やスキルを持った人材が

データ分析人材として重要な役割を担うようになりました。


あれから数年が経ち、AIのコモディティ化やIoTなど、

世の中のトレンドも劇的に変わりました。

いま、それらの分析担当チームはどのように働いているのでしょうか。


完全に新規事業を担当していることもあるかと思います。

あるいは、社内の課題解決を担当していることもあるかと思います。


しかし、どんな立場で働くにしても、

やりがいを持って働くことができているのでしょうか。

多くの大手企業を見てきた観点からいえば、

そうでないケースがかなり多くあると思います。


その場合のポイントは、

「社内課題と有機的に結びついているかどうか」

にあると考えています。



分析部門は放置すると内向きになってしまう


2020年現在、データ分析に係るキャリアパスは

ほぼエンジニアと同様のものになっています。

最新技術や知識を貪欲に吸収し、

実装することが求められます。


また、多くの分析部門は、業務内容を独自に設定して、

かつKPIを求められないケースも多いです。


そのような環境では、優秀で意識が高いメンバーほど、

個人的な興味で新技術に次々と手を出し、

社内でも何をやっているかわからない部署になってしまう、

ということがよくあります。


逆に、分析部門が経営と近い場合、

短期間で成果を出そうと焦るあまり、

他の現場部門の頭越しにいろいろな提案を行って

軋轢が生まれるケースもあります。



ミッションよりもアプローチが難しい


上記を避けるためには、

「データ分析部門のミッション、あるべき姿を明確にする」

「それにアプローチする方法論を明確にする」

ことが重要です。


そして、ミッションとは、

実際に売上や利益を生んでいる現場の課題を解決することであり、

あるべき姿とは、技術や知識でそれを迅速かつ丁寧に解決していく組織の姿でしょう。

ほとんどの場合、これには異存がないと思います。


ただし、アプローチする方法論は一筋縄ではいきません。


なぜ方法論を決めることが大変なのか?

それは、解くべき現場課題そのものが明確でないことが多く、

そして、分析チーム自身は解くべき課題を持っていません。


実際に業務を行っている部門の課題を明確にしない限り、

会社組織の中で意味のある働きができないということになります。



現場課題へのアプローチ


自社や自部門の課題を

要素分解、優先順位づけして明確に指摘し、

それに対する打ち手の中からデータ分析を選び、

さらに適切に要件を切ったうえで依頼ができる、

というのは一部の優秀な経営者やマネージャーに限られます。


多くの場合、自分がやっている業務の課題は

本人にすら明確でないものです。

また、明確に言えたとしても、

その課題を分析の問題に置き換えることは

簡単ではありません。


このように「ふわっとした」課題に対して、

時間と費用をかけてアプローチしても、

成果は上がりません。

むしろ、

「言う通りにしたのに、なぜ満足しないのか?」

「やっぱり全然違うんだけど・・・」

という議論が繰り返され、疲弊するだけです。


「先回りして課題を発見、解決する」

「クライアントより深く考える」

という言葉もありますが、

業務の背景や知識は、現場のほうが多く持っています。

思い込みで課題感を振り回し、空回りしてしまい、

軋轢が生まれるリスクのほうが高くなってしまうでしょう。



スモールスタートのメリット


最初は小さい「悩み」「疑問」にアプローチし、

そこから横展開、縦展開で広げていく、

という手法は、いつも正しいです。


小さいプロジェクトを数多く解決していくことによって、

そこから大きなプロジェクトへのシードが生まれます。


また、数をこなしていくことで、

データ分析部門は社内に周知され、信頼度も上がり、

人脈や業務知識についても深まっていくでしょう。


メンバーのやる気ややりがい、

社内課題の解決に向けて習得すべき技術についても

明らかになっていくでしょう。


さらに、データ収集や業務システム開発など、

データ分析部門の日常の業務についても、

交渉力が上がっていくでしょう。


そして、プロジェクトが小さいので、

いろいろな理由で失敗したときのリスクも回避できます。



その場合重要なことは、

「それが解決したら率直に何が嬉しいのか?」

を明らかにしてから始めることです。


ただ「知りたい」だけでなく、

知ってどうするのか、が明らかであれば、

データ分析部門としても、

自部門の社内貢献を明確化することができます。


ヨカヤム

「現場を助ける、人を活かす」データ利活用