前回の記事では、「分析課題発見コンサルティング」の概要についてお話ししました。
今回は、「分析課題発見コンサルティング」に含まれる前準備のうち、
前準備1.ビジネス課題の洗い出し についてお話しします。
課題を集める
「前準備1:ビジネス課題の洗い出し」においては、
まず、業務上の悩み事や課題をリストアップすることから始めます。
この時点では、どのような書き方でもよいので、
とりあえず文章として列挙することを目指します。
課題の集め方はさまざまですが、ここではまだ
「データによって解決できるかどうか」の観点は確認しません。
関係ないと思っていても、「実はデータで解決できる」
問題もあるかもしれませんし、
組織における課題や悩み事の一覧表を作っておくこと自体も、
データ分析に活用するしないを問わず、何かの役に立つものです。
ただし、組織の中で多くの人にアイデアや悩み事を募集する場合でも、
最初の段階で参加する人はあまり多くないほうが良いでしょう。
特に大きな組織で行う場合は、まずは一度データ分析で成功体験を積んでから
課題を集めることで、よりスムーズに結果につながるでしょう。
集めた課題の「何について」「何のために」を洗い出す
課題がある程度集まったら、次に、 それぞれの課題が書かれた文章について、
①「何について」②「何のために」を洗い出します。
つまり、「●●を行うために、〇〇についてデータ分析をする」という形にします。
①「何について」とは、
・売上、申込数や来店者数
・施策の費用対効果
・顧客が購入する可能性
・欠品による機会損失の規模 など、さまざまなものがあると思います。
②「何のために」では、
・数値目標の達成
・具体的な意思決定
・時間短縮と効率化
・予測 などがあるでしょう。
この作業を行うと、
「リストアップした項目のうち、実は同じ課題だったもの」
が出てくることが普通です。
ブレインストーミングを行い、課題をリストアップすることで、
実は互いに関係のある課題を見つけ出すことができ、
より大きな成果につながる1つの課題としてまとめることができます。
最初から1つの課題に絞った場合よりも、
インパクトの大きい分析ができる可能性が高くなります。
なぜこのステップが必要か
「課題を見つける」ことなんて当然、と言われるかもしれません。
しかし、データ分析をしよう、となると、往々にして忘れがちな観点です。
打ち手がない、どうしようもないことについてデータを動かしても
調査としては面白いかもしれませんが、ビジネス上の意味はありません。
あるいは、
「とりあえず手を動かしてみて、面白そうだったら使ってみる」
と言われるかもしれません。事実よく聞く話でもあります。
しかし残念ながら、そのような報告書はほぼ読まれません。
なぜでしょうか?
目的意識の薄い分析は、それだけ的がぼやけてしまい、
報告書になったとき、それによって人を動かす力がないからです。
また、「読んで結果をもとに解釈しよう」としても、うまくいかないことのほうが多いです。
なぜならば、的をしっかりと絞らない分析であるため、分析結果そのものの精度が低く、
誰にとっても役立たない結果になっている可能性が高いからです。
まず課題そのものをしっかりと言語化することで、
その課題に対してどんな人がかかわっており、
どう解決しなければならないか、が見えてくるものです。
これが「前準備1」のステップです。
0コメント